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2018年03月29日

136/墨付け

家を建てるということは、「墨にはじまって墨におわる」と棟梁たちはいう。墨通りに加工する技術よりも優位におく。大工が墨付けをするとき、まず木を見る。木取りといって、どこにどの木をどういう風に使うかを見極める。1本1本、板図を見ながら番付と言われる印を入れていくのである。それぞれ木の癖を見ながら土台や梁などは荷重を受けるのでむくらせて使う事や、柱などは木目によって反りが出る場合があるので、それを相殺する様にしたり、外部に出る所は元と言って、赤味が多く痛みにくい木の根っこの方を使ったりと様々な事を考えながら木取りをしていく。木の癖を見抜きながら家として組み上がった時に、締まって強くなる様に組んで行く。

プレカットの話を前回書いたが、この木取りの作業がプレカットにはない。生産ラインに乗せられた材木が機械に運ばれて、一様に機械によって加工される。それぞれの材木の癖を見ずに、材木を加工して組んでいく。個性は消され、一様にフラットにされてしまう。

墨付けは棟梁の一番大きな仕事いってもいいんじゃないだろうか。この墨に合わせて数人の大工さんが刻んでいくのである。間違った墨をつけていれば、そのまま刻まれてしまう。