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2018年02月06日

129/縁

日本の民家の面白さは縁側のあることだと思う。縁側は良いものだ。大抵南側についていて、夏は家の軒のために日陰になっていて涼しく、冬は日があたって日向ぼっこができる。ばあさんがそこで糸をつむいだり、孫を遊ばせたり、行商人がやってきてそこで商品をひろげたり、近所の人が来て腰を掛けて話し合ったり、こんないいものはない。私など旅をしていて多くの知人をもつことができたのは、縁側があったからではないかと思います。中略
縁側などというものは、一見不要なようのものですが、それが日本人の生活にうるおいを与え、人と人とを仲よくさせた功績は実に大きかったと思います。
宮本常一

自然と人との、自然と建物との関係性において重要な要素になってくる。自然に近く、常に自然とともにあるように、とは思うがすぐそばで自然の息吹を感じ続けるのは人のほうにも体力がいる、と思う。実際そういう暮らしは、キャンプや不意に訪れるライフラインからの断然されたとき以外にそうそうないが。そういう意味でも縁、縁に変わるなにか、自然と建築との緩衝地帯のようなものの存在は欲しい。宮本さんが書いているように、自然との関係性だけではなく人と人の関係性においても、縁側がとても重要な役割を果たしているだろう。気軽に近寄れる場所、スペースがあるというのはいい。今回のプランでは特に縁側にデッキを設けていたり、そのためのスペースを設えているわけではない。ただ屋根を通常より少し伸ばし庇の部分を広めにとっている。雨の当たらない部分を作るだけでも緩衝地帯になる。
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