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2017年06月09日

098/森に入る

植林されていない森は、その絶妙な平衡状態を保ち、環境の微妙な変化を色濃く反映し森を形成している。風の強く当たるところ、谷沿いの湿り気の多いところ、南か北か、高い木のまばらな地面まで光の当たるところ、その光の入り方で地被植物の様相も変わってくる。特に大きな木はその周辺の環境を作るのに大きく起因している。そのものが、主役でありながら、その周辺の植物にとっては重要な環境の一部である。そういう膨大な数の相互作用の集積が森を作っているのである。

といっても知りかけの言葉をつなげているだけで、まだまだなにもわかっていない。こういう機会を増やし、森のことを知り、自然に寄り添って、自分の感覚を整えていかなければ。淡路島の家プロジェクトを始める一つのきっかけというか、一つの目的でもある。今まではどうやっても情報を追いかけて、その中で、地域との差や時代の流れなど、本来の価値とは関係のないところで否応なく比較しあい、良い、悪いを決めてきていた。本来はそうじゃないはずである。自然や素材や技術と、自分たちが向き合い、自分の感覚として良いもの悪いものを、もしくはどういう状況かということを身体感覚として感じていたはずである。土地、素材、技術の本来もつ力を見抜き、それを引き出す。これ以外に良いものを作る方法はないような気がする。そして、それを見抜く目が今の自分には備わっていない。そういう感覚をうまく目覚めさせなければいけない。そのためにも、もっと森にはいろう。

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