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2017年05月27日

092/製材

製材初日。
山から木が切り倒され、トラックに乗せられて製材所まで運ばれてくる。その間、乾燥期間を含めおよそ5か月。山積みにされた丸太は、砂河さんによってリフトで製材機のところまで運ばれ、木の通りを見極め初めの1本が製材機にセットされる。機械は大きな音を立てて刃の回転を始める。丸太は最初からそこに切れ目があったかのようにすっと切り込みが入り、木の表情が現れる。檜のいい香りがあたりに漂う。同じように4面を切り取り柱が現れる。
初めて見る製材は、実にアナログで砂河さんの長年の感が頼りである。我々は手元として指示を聞き洩らさないようにして、できるだけ素早く動ける態勢を取っているにすぎない。大きな機械の音のせいで砂河さんの声が届かない。そのおかげで、われわれは自然と砂河さんから目が離せない。木の扱い方。木を見る鋭い視線。製材機を操る手に足に。

木を倒したとき、その迫力に驚いた。ただ、いままで見慣れた木、製材されたこの状態になってようやくやってきたことの道のりの長さが実感として、ひしひしとこみあげてくる。今まで見ていたものの裏側にこれだけの長い道のりが隠れていたのかと。じわじわと。

ようやくここまでこれた。