2017年02月19日
057/壁土
壁土について。
瓦のところでも書いたように淡路島では良質な粘土が採れる。
壁土には粘土を使う。粘土とは「極めて微細な粒の土」のことである。土質学では土を粒径により、粘土、シルト、礫、段階に分類している。その粒径分布が重要になってくる。土の力学的性能を左右する原理は、コンクリートの場合とそんなに変わらない。
コンクリートはセメントと水に細骨材と呼ばれる砂、粗骨材の砂利を加えて作られる。セメント粒子は水と反応して細骨材の砂に付着し、それが粗骨材を包んで空隙を埋める働きをする。空隙が少なければ圧縮強度が増す。土壁にも同じことが言え、大小さまざまな粒子が適当な割合で混在していれば、全体的に空隙が少なくなる。また、粒径の違うものが適度に混ざり合うことで外力が加わった時の摩擦抵抗も大きくなる。
壁土には必ず藁を混ぜる。スサとは短く切った繊維のこと。藁スサを土壁に混ぜる理由は2つ。一つは土の粘りを和らげて施工性をよくするためと、もう一つは藁の繊維を利用して土の乾燥収縮に抵抗するため。土に混ぜられた藁は壁の強度にも、いい面、悪い面ともに影響を与える。藁の断面がストローのような中空構造をしているため、空隙が生まれ、壁土の圧縮、せん断抵抗を弱めてしまう。プラス面は藁の繊維が壁土の摩擦抵抗を高める。これは、変形性能(靭性)を高める働きをする。練り置きをするのは藁を腐食させて繊維化させ、空隙をなくすためである。練り置きとは藁と水を加えた土壁を混ぜて一定期間寝かせておくことを言う。