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2017年02月08日

046/構造~在来工法と伝統構法~

建築を作る際に一番重要と言ってもいいのが架構、構造である。基本中の基本。構造がないと建築は成り立たない。実は、その構造についてまだ決めかねている。構造はまだまだ学ぶところが多い。

木造の建物の場合、大きく分けて2つ。
在来工法と伝統構法。
現在の住宅の99%が在来工法でたてられていて、伝統構法はわずか1%ほどといわれている。
そもそも、木造の場合、柱、梁、桁、筋交いなど、木製の軸組で家の骨組みを作る「軸組工法」と呼ばれる建て方が一般的。その中でも在来工法とは、ボルトやプレートなど金物で補強しながら木と木をつなぎ合わせられている。そして、柱と柱の間に筋交いや構造用合板などで「耐力壁」と呼ばれる強い壁を作り、この壁量により建物の強度を高め地震に耐えるよう考えられている。そのためにも基礎はコンクリートで強固に作り、その上に木の土台をのせアンカーボルトと言われる金物で緊結していくことが重要。土台に柱をほぞで差し込み耐力壁と土台をきちんとつなげ、これまたホールダウン金物等で緊結していく。

一方で伝統構法は壁量には頼らず、木の組み方そのもので強度を維持する。木と木を力強く組み合わせることで建物の強度を高めていくのである。基礎はみなさんも古民家で見たことがあると思うのだが、石の上に載せてるだけで金物などでは繋がれていない。建物自体の重みで柱と礎石との摩擦力で揺れから耐える。最大摩擦力を越えるような大きな揺れがきた場合は、柱ごとずれてエネルギーを逃す、いわゆる免震構造の考え方である。家を固める在来工法に対して、伝統構法は木組のねばりとしなりで揺れを吸収する。

ここまでは資料を読んで簡単にまとめたもの。

今日、たまたま構造設計の人と話す機会があったので、それもメモしておこう。
構造設計の人曰く、伝統構法は数字に乗らないので難しい。数字に乗らないことはできない。地震が起きた際には基本的には揺れることを許容しているので、建具や壁などに破壊が生じ使えなくなる可能性がある。熊本地震のような震度6レベルが立て続けに起こるような場合、果たして耐えられるのか。という意見が伺えた。
なるほど。ますますわからない。

ちなみに、一般の人にとっては1級建築士がなんでもやっていると思われる方も多いと思うが、いわゆる意匠設計(デザイン)、構造設計、設備設計など建築士の中で専門分野に分かれている。ほとんどの1級建築士は意匠設計と呼ばれる人で、構造や設備など専門家と共に設計を行う。あとでも説明するが、一般的な木造はわれわれ意匠設計でも一人で行えるよう簡単にルールが決められている。実は、ここが厄介で、伝統構法はそのルール外の存在なのである。

 

参考資料
『石場建て 伝統構法の家建ててます』伊東祐一、伊東裕子著

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