15977695_1291068210973953_3308043478465472502_n-720x831

2017年01月18日

040/道具

淡路檜の伐採4日目。

作業中に、斧の側面に片側に3本、その反対側に4本の溝が刻まれているけど、なにか理由があったよね。という話があった。

文献を読むと、法隆寺の宮大工西岡常一氏によれば

「斧(ルビは「よき」となっている。)のところに筋が刻まれてますやろ。これは何だかわかりますか。こっちに三本、反対側に四本筋が入ってます。三本の方をミキと言います。ミキつまり御酒(みき)のことですから「酒」でんな。
そんで四本ほうがヨキゆうて五穀のことです。ヨキは四大「地水火風」をあらわしてます。地は地面、水は水(みず)、火は太陽、風は空気でんな。つまり四方山(よもやま)の山海の珍味いうことでしょう。
こうした刻みを入れた斧を、木を伐る前に、その木にもたせかけて拝むんですわ。「これから木伐らしてもらいます。」ってな。そのとき本来なら、お酒や五穀をお供えするんでしょうが、山の中ですからこういう形で斧の刃のところに彫ったんでしょうな。」
(木に学べ-法隆寺・薬師寺の美-:西岡常一(小学館,1988.3.1))

調べてみると、地域ごとに様々な言い伝えや、鍛冶屋による言い伝えなど、様々な説があるが道具一つとって見ても、どれだけ意味があるのか。
どれだけ自然を大切に考え、道具を大切に考え、畏敬の念をもって接していたことか。自然に寄り添った暮らしがそうさせたんだろう。
洋斧にはもちろんそういう溝はないが、ハスクバーナの斧ももちろんかっこいい。