2017年02月19日
058/土壁の断熱
吉田兼好の「徒然草」の一節にこうある。
「家のつくりやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる…」
昔の家は断熱がないとよく言われる所以は、ここにある。夏涼しくて、冬は寒い。
さて、ほんとにそれでいいのだろうか?嫌だ。寒いのは間違いなく嫌なのである。心底底冷えのする家で居心地がよく暮らせるはずもなく、逆に不健康なのではないかと思う。
昔の家づくりの弱点の一つ、断熱性能の向上に目を向ける必要が出てくる。
一般的に素材の断熱性能を計る指標として、熱伝導率というものを使う。その素材がどれくらい熱を伝えやすいかという数字である。現在の住宅の一般的な断熱材はグラスウールというものを使う。グラスウール10K相当100ミリ厚だと、だいたい0.050W/m.k。土壁はというと0.690W/m.k。もしグラスウールと同じ断熱性能を土壁に持たせようと思うと、グラスウール100ミリに対して、土壁は、なんと1,380ミリ。まったく現実的でなく、どれほど現代の住宅との差があるかがわかる数字である。ちなみに、コンクリートは1.600W/m.k、木材は0.120W/m.k、ガラスが1.000W/m.k。
住宅の熱環境については単純に断熱性能だけで測れるわけでもなく、複雑な要素が絡み合って居心地のいい環境を作ることができる。まだまだ調べる必要があり、自分自身でもまだまだ理解できていないところが多い。この機会に勉強しなおそうと思う。