2018年05月21日
144/瓦葺き
いよいよ銀古美を屋根に葺いていく。
瓦には本来いろいろな種類の形状があり、箇所箇所で納まりも違ってくる。淡路島の家は瓦屋根の重厚な感じではなく、どちらかというと、玉ねぎ小屋のような簡素な造りを目指した。
瓦屋根の印象を大きく左右する要素として、軒先、棟、ケラバがある。軒先は和瓦そのままを使うことにした。本来、水切りや意匠的な工夫を凝らした様々なデザインがあるのが軒瓦である。棟瓦も瓦屋根の重厚さを表現する場合には、できるだけ高く、そして、こったデザインをするのが常であるがなるべく低く、薄く見せる。そういう細かい積み重ねがこの瓦の屋根の軽やかさを出せたと思う。
瓦屋根は、化粧ではなく、水を屋根の稜線に沿って両側に落とすというシンプルでとても重要な機能が現れる素材であると思う。屋根瓦全体でみても美しいし、一枚をとってみても水の道を、その最小限の要素でかなえているとても美しい曲線を描いている。屋根が持つ必要最低限の機能と瓦が持つ自然により作られた形を生かすには、なるべくシンプルに飾らない屋根である必要がある。今まで瓦を避けて設計してきてたが素材のもつ力を理解したうえで設計していけると面白い素材に変わっていくはずである。