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2018年02月12日

132/風土からの形

ここまで小難しくいろいろ書いてきたが、日本の風土から導かれた形として、屋根(軒)と柱と壁という要素に単純化できるのではないかと仮定してみる。緩勾配の単純な切妻屋根は雨を防ぐだけの軒の出と雨水が建物内に侵入しない最小の勾配により決まってくる。木造の柱の大きさを基準に構造が決まってきて、それに沿える形で風雨や外敵、地震から守るに足る壁をつけていく。開口部は、必要に応じた形で開けられるのではなく、柱と柱の間に壁がない状態を開口部とした。人の意図以上の、なにか自然が決めた形を模索している。風が抜ける位置、北側の守りなどなど諸条件を付加していくと今のようなシンプルな形に落ち着いた。
もちろん予算があり趣味趣向があり、一世一代の大仕事である家づくりである。自然の理だけで家はできるわけもないが、少なくとも我々は自然の一部として暮らし生き続けていくのは間違いない。少しでもその一部であり続けようと願う意図が、この建築に含まれている。写真にスケッチはこの敷地と向き合って、計画がなにも固まっていない段階で書いたスケッチである。もちろん細かい部分は考えられていないし、様々な条件もクリアされていなかった。ただ、自然の中に東西に長いシンプルな切妻の瓦屋根をかけ、均等に並んだ柱から、壁の部分を除いた自然とつながる大きな開口部分が特徴的な意匠が今の設計につながっている。