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2018年02月04日

128/柱と柱間

神代雄一郎は、日本建築が柱と、柱と柱のあいだから発生した間によって構成され、これが、一本の柱立てから様々な配置型式へと水平方向に展開する日本の空間構成の元となっていることを指摘している。伊藤は「基本構造のシンボル」である柱および柱群の隙間に漂う目に見えない空間を「イマジナリースペース」とよび「目に見えない空間を設定し、そこで空間の構造と秩序を検討する方式は日本的な文化のパターンの一つとしている。飛び石の配置における布石の発想や、石配置の際に、石と石のあいだを二つの存在の原焚きあう場として考慮する合端のなじみはそのような例と言える。物理的要素のあいだの空白に、重要な意味役割が存在することについて、吉村は、余白の原理として、不要のものを削る凝縮性、それによって現れる必然性、本質性を指摘している。広い仏殿が一体の小さな仏像の霊威の働く場として必要であったことや、龍安寺石庭の石と敷き詰められた白砂の例が述べられている。伊藤は「西洋の空間が黒い紙にあらわれた白い空洞であるとするならば、日本の空間は白い紙の上に散在する黒い点であると。彼らは空間を彫刻して掘り出したのであり、私たちはシンボルを散在させて空間を浮かび上がらせてきたのである。」
以上『日本の建築意匠』から抜粋。
柱割は日本建築において最大のデザイン要素だといっても過言ではないと思う。真壁と呼ばれ、柱と柱の間に土壁を塗る。柱は規則正しく並び、常に空間の質を支配する。窓の位置、開口部の位置、畳割や天井の割まで、その基本の柱の並びから影響を受ける。
例えば、柱割には地域によっていくつもの種類があるが、大きいものから、京間、中京間、江戸間、団地間などである。淡路島の家では基本の柱割は2730を使う。それは、それほど大きな材の取れない淡路島の構造材を意識して、それ以上になる空間を避けるためである。2730の柱割で空間を作っていく。2730*2730は約4.5畳。4.5畳の広さの空間の集合体をイメージすると少しわかりやすい。デザイン面以外にも真壁にはそうなってきた経緯がもちろんある。構造体である木材は湿度を嫌う。真壁は常に乾燥状態を保てる。また、土壁の下地は柱間に貫、間渡しを入れ、竹小舞を編んでいくのであるが、作り方も理にかなった方法ということになる。
その結果、日本建築は、整然と並ぶ柱によって建築が構成されていく。
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