plan007

2018年02月01日

127/床型式

一般に日本建築には三つの床型式がある。
1、原始住居に起源をもつ土間
2、寝殿造り系の板床
3、書院造系の畳である。
建築史家の中川武は次のようにのべて土間空間を定義している。

「土間は原始時代以来の竪穴式および平地式住居の伝統が、綿々と受け継がれてきたことを示している。農業を中心とした生産の場が住居の内部に取り入れられていることや、村落や近隣の共同生活の関係が密接であることなどによって、公共的な外部空間と家族の私的空間の中間に、屋敷地と土間という、公私の度合いに濃淡のある独特な空間を生み出していると言える。特に土間は、農村の民家だけでなく、町家にも取り入れられ、外部の自然や生産の場所、近隣社会と結びついた庶民生活の濃密な場として継承されてきたものであった。」
民家はこの土間空間を今でも継承する建築である。そして「民衆の土間への愛着と神聖感」は三和土の床の「苦塩にがりの使用は清めの意味をもつ」や「常に土間は掃き清められ大切に扱われている」といった先学の指摘にも表れている。
以上『日本の建築意匠』から抜粋。

現代社会における土間の役割はどういったものになるだろう。多くの人は農家ではなく、土にさわるとしても家庭菜園くらいの人が多い。農業のために室内に土間を大きく取り入れることは現実離れしてくる。現代においては外部とつながる場所、といってもいいかもしれない。外部の自然を直接室内に取り込むのはいささか直接的過ぎるし、縁側や土間を介して外部とつながるくらいがちょうどいい。また、近隣社会と結びついた庶民生活の濃密な場とあるように土間は気軽な社交の場にもなりえる。室内に外部が取り込まれたような土間は様々な使い方がそれぞれのライフスタイルに対応できる優れたアイデアだと思う。
IMG_6999