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2018年01月30日

126/ウラは北向き+開口部が少ない

近世初期の民家では壁面が多く閉鎖的で、特に北側のウラ空間はこの傾向にある。開口部の造作は高度な加工技術が必要だったため、庶民住宅では、窓の摂取は限定的にならざるを得なかった。よって開口部を広くし、採光をよくすることは、座敷とともに「庶民の願い」であり、これが民家構造を発達させる大きな要因となった。開口部の基本形には、柱間の半分を壁にし、2本溝に板戸と明かり障子を引き込む形式と敷居、鴨居を3本溝とし、板戸2枚に明かり障子1枚を引き込む形式が主流であり、時代が下るにしたがってオモテを中心に開放性が向上する傾向にある。

建物がたつことによってつくられる環境は太陽の動きや風の向きに大きな影響を受ける。北側はいうまでもなく、ほとんどの時間日があたらず、日本においては特に冬場の北風は冷たく人体に影響を与える。自然、大きな開口をとらず最小限に抑え、最低限の採光と通風を確保することが望まれる。

淡路島にもおいても同様である。西側の地域は冬の西からの風は予想を超えるもので、体感温度で東側の地域と比べて2,3度差がある。そういうこともあって、北側、西側の窓の位置には注意が必要である。位置だけではなく、建具の納まりにも慎重な配慮が必要である。隙間風の進入を止め、ガラス面の冷却を可能な限り少なく抑えなければいけない。

南、東面の開口は敷地の形状からも抜けていることもあり、大きな開口をとって景色や光、夏の風を取り込み、北側にそのまま抜く。逆に冬の、西、北の風はなるべく遮り小さい開口にとどめておく。
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