2017年02月16日
051/瓦について
淡路島は瓦の産地である。それだけでなく日本の瓦の三大産地のひとつでもある。
愛知県の三州瓦、島根県の石州瓦、そして淡路島の淡路瓦である。昔は、輸送が今ほど整っていなかったことや人力によるところがほとんどだったので、瓦は日本各地、その地域ごとで作られていたようである。
実は、建築を学び始める前の僕が高校生だったころは、淡路が瓦の産地だという事を知らなかった。瓦のイメージは重厚で、地震に対して弱く、和の趣が強い。我々が学んできた現代建築にはそぐわないという先入観があった。
淡路で仕事を始めても、瓦を屋根に葺くという選択肢はなかった。今でも、瓦を使うのは難しいと思っている。デザインに制限が出てくるからだ。屋根の勾配はある程度決まってくるし、役物はボテッと重厚なイメージが付きまとう。どうしても、古民家の入母屋造り、本瓦葺き、鬼瓦、のイメージが。
瓦を使うなら、玉ネギ小屋のような、素っ気ない、飾りっ気のない素朴な瓦がいい。淡路島独特の瓦屋根の玉ネギ小屋はいい。とくに単独でみるよりも、それらが連なって街並み、屋根並みを形成する風景は自然になじみ、自然に寄り添っているように感じる。昔ながらの瓦は今の淡路瓦のように、綺麗に整ってはいないし、綺麗ないぶしもかかっていない。でも、それがいい。そういう、自然になじむような屋根が美しいと思う。