2017年02月09日
047/構造~仕様規定~
もう少し構造についての基本をおさえておきたい。とても退屈だとは思うが。
一般的な木造は、われわれ意匠設計でも一人で行えるよう簡単にルールが決められている。ここが厄介で、伝統構法はそのルール外の存在なのである。
そのルールとは仕様規定というもので、今の建築基準法では、建物の耐震性能は在来工法の壁の量で計算できるようになっている。そのための基本的な素材、工法、寸法を具体的に明示したものが「仕様規定」と言われるものである。前回にも言ったように、現在建てられている木造軸組み工法の99%が在来工法で行われている。
専門的にいうと「4号建築物」,「4号建物」と呼ばれている。4号建築物は、確認申請の審査を簡略化することが認められており、これは「4号特例」と呼ばれ、建築士が設計していれば提出図書の省略などが認められるのである。
・木造の建築物
・階数2以下
・延べ面積500㎡以下
・高さ13m以下
・軒の高さ9m以下
仕様規定
木造住宅の仕様規定には、3つの簡易な計算と8つの仕様ルール
<簡易な計算方法で確認>
1.壁量の確保(壁量計算)
2.壁配置バランス(四分割法)
3.柱の柱頭・柱脚の接合方法(N値計算法)
<仕様を守って計画>
4.基礎の仕様
5.屋根ふき材等の緊結
6.土台と基礎の緊結
7.柱の小径等
8.横架材の欠込み
9.筋かいの仕様
10.火打材等の設置
11.部材の品質と耐久性の確認
このような規定が設けられているのは、小規模な建築物については、その構造特性を考慮して決められた構造ルールを満足することで、構造安全性を確保できると考えられているからである。
もう一度言うが、伝統構法はそのルール外の存在なのである。