2016年07月26日
005/森林崩壊
「森林崩壊-国土の変貌を考える」太田猛彦著
この本に出合ったのは、後にもたびたび話題にでるであろう、西村佳哲著「ひとの居場所をつくる」の中に参考文献として出てきたからである。
森林崩壊の中身を簡単にお話しすると、今僕たちが見ている緑の木々に覆われた山は50年前まではほとんどがはげ山であったという。森しか資源のなかった社会では、建築資材、燃料、さらに農業までもが里山から資源を搾取し続けていた。これ以上に荒廃しないよう、乱伐、乱獲からまもるため入山を規制するところも多々あったというほどである。それがいわゆるエネルギー革命、肥料革命により森との密接な結びつきを切断することになった。その結果、森に人の手が入らず、草地には樹木が侵入し、森の樹木はかつてない勢いで成長し始めたのである。そのため、暗い常緑広葉樹林帯に変わって、道端などの林縁にはバラ類やクズなどつる性植物が密生して人の立ち入りを阻んでいる。また、竹林がはびこり、そのうち日本の里山は竹林に覆われてしまうかもしれない。
その結果、猿や熊の人里への出没、海岸の砂浜流出、花粉症など、様々な問題を生み出しているという。量的には豊だが質的に多くの問題を抱える森林を生かしていかないといけない。
だいぶ乱暴にまとめてしまったが、なるほどなぁと思う。闇雲に利用することだけが最善の方法だとは思わないが、少なくともある程度利用することは必要なことなんだと。自然と人間の関係は絶妙なバランスの上に成り立っているんだと改めて思う。
そうそう、ここまで書いといてなんですが、僕たちのスタンスとしては、問題や課題を指摘したり、分析したりして、なにか必要性を訴えたりはしないでおこうと思っている。そんなことは、専門家がもっと膨大な資料に目を通して血眼になってやってくれている。僕たちがやれることは、こういうふうに現状を学びながら、実際にやることである。実際にやれる仲間を集めて、実際にやること、それしかない。
そして、現実はこんなに厳しくてこんなに美しく素晴らしいもんなんだと感じ、いろんな人達とそれを共感することができればいいと思っている。